給与所得者が、副業でカーシェアリングを始めた場合、その収入は「事業所得」か「雑所得」になります。
自家用車をカーシェリングで貸し出して、副収入を得ようとする場合は、「雑所得」に該当すると思われます。
事業所得と雑所得の区分について
明確に、売上がどれだけあれば事業所得になる、などの基準はありません。「個人事業の開業届」を税務署に提出すれば、税務署から収支内訳書や確定申告書Bを送ってくると思います。ただし、「事業」と認められない可能性もあります。
カーシェアリング用に車両を買うようなら「事業」だと思いますが、自家用車をたまに貸し出す程度であれば、「雑所得」だと思われます。
雑所得の場合、届け出は必要ありません。
雑所得の必要経費は何か?
カーシェアリングの収入を得るために直接必要な費用が、経費になります。
経費になるようなもの。
- 自動車税
- 車検代
- 保険代
- 駐車代金
- 車両の減価償却 など
自家用車を貸し出しているため、貸し出さない日は自分で使用をするわけです。この自分で使用する部分の金額は、経費にすることはできません。
合理的に按分を行い、経費にする分を算出します。
合理的な按分の方法
年間の走行距離が2万キロで、カーシェアリングで使用された距離が5千キロだった場合。
5千キロ÷2万キロ=0.25 25%をカーシェアリングで使用したことになります。
年間の維持費が200,000円の場合。
200,000円×25%=50,000円 → これが雑所得の経費となります。
このように走行距離で按分するとよいと思います。
個人の税金の計算は、1月1日から12月31日までで計算します。
毎年1月1日と12月31日のオドメーターで走行距離を記録する必要があり、貸し出しの時も走行距離を記録する必要があります。
車両の耐用年数について
カーシェリングで使う車両はいつ買ったものなのか、を知る必要があります。
軽自動車は4年、普通車は6年が法定耐用年数です。
法定耐用年数を経過している場合。
計算式
法定耐用年数×20%
軽自動車 → 48ヵ月×20%=9.6ヵ月
普通自動車 → 60ヵ月×20%=12ヵ月
2年(24ヵ月)に満たない場合は、2年と考えます。
その為、軽自動車も普通自動車も耐用年数は2年となります。
法定耐用年数の一部を経過している場合。
計算式
(法定耐用年数-経過した年数)+(法定耐用年数-経過した年数)×20%
3年落ちの普通車の場合。
(6年-3年)+(6年-3年)×20%=3.6年
1年未満は切り捨ての為、3年が耐用年数。
16ヵ月落ちの軽自動車の場合。
(48ヵ月-16ヵ月)+(48ヵ月-16ヵ月)×20%=38.4ヵ月
これは、3年と2ヵ月なので、3年が耐用年数。
減価償却費の計算方法
個人の場合は「定額法」で計算します。
計算式
取得価格×償却率×(事業月数÷12)
計算例 3,000,000円の車両の場合で、事業月数は6ヵ月
3,000,000円×0.167×(6÷12)=250,500円 → これが償却額。
この償却額にカーシェアリングで使用した割合をかけた分が経費になります。
カーシェアリングで使用した割合が25%であれば、「250,500円×25%=62,625円」が経費です。
償却率は、耐用年数で変わります。
償却率
耐用年数の最後まで計算すると、帳簿価格が0円になるので、一番最後の時は1円だけ帳簿に残るようにします。
例えば毎年501,000円償却額が発生する場合、最後の年は494,999円とします。
雑所得の計算
カーシェアリングの収入が500,000円あり、経費が350,000円だった場合。
500,000円-350,000円=150,000円 → 雑所得
申告書の表記
雑所得(不動産所得等他の所得が無い)が20万以下なので確定申告をする必要はありません。ただし、医療費控除等で確定申告をする場合は、この20万以下の雑所得も申告する必要があります。
まとめ
ポイント
- 経費にするために、合理的な按分が必要
- 既存の車両で始める場合の耐用年数に注意
- 所得が20万以下なら申告不要
- 医療費控除等で申告する場合は、20万以下でも申告対象
コメント
こんにちは。疑問が湧いたのですが、雑所得の経費として、減価償却費などを算入する場合、その車を売却する時には譲渡税の対象になるのでしょうか?
雑所得の場合も事業所得同様に、車両の売却時には総合課税の譲渡所得として計算をします。
事業で使用していた部分を譲渡所得の対象として考えるので、経費算入していた按分割合で譲渡所得の計算を行います。
最終的な判断は、税理士や税務署でご確認後に行って下さい。