消費税は、「売上等で預かった消費税」-「仕入等で支払った消費税」の差額を支払います。
支払った消費税のほうが多ければ、還付されます。
簡易課税を選択している場合は、還付されることはありません。
設備投資などで消費税の還付のあるとき申告書の作成について
当期の売上が2,000万(税抜)、仕入が1,000万(税抜)、設備投資で建物3,000万(税抜)の場合の申告書。
消費税は、売上分が160万円、仕入が80万円、建物が240万円です。
納税額の計算
160万円-(80万円+240万円)=△160万円
160万円の還付です。
申告書は還付申告となるので、通常の申告書に加えて、「消費税の還付申告に関する明細書」を添付します。
申告書
明細書の課税仕入れに関する事項
消費税の国税部分の金額を記載します。
消費税8%の内訳は、国税6.3%、地方1.7%です。
仕入1,000万の消費税の国税部分は、63万円で、固定資産3,000万の消費税の国税部分は189万円で、合計252万円となります。
期末の消費税の精算時の仕訳
売上等の預り消費税は、160万円。仕入等の仮払消費税は、320万円。還付される金額は、160万円。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
預り消費税 | 1,600,000円 | |||
仮払消費税 | 3,200,000円 | |||
未収入金 | 1,600,000円 | 消費税 |
通常は、このような仕訳を行うと、いくらかの差額が発生することがほとんどです。その差額は、雑収入か雑損失で処理をします。
中間申告が多い時の消費税の還付申告書の作成について
当期の売上が2,000万円(税抜)、仕入れ等が1,000万円(税抜)で、中間の納税を100万円行っていた場合。
売上の消費税は、160万円、仕入の消費税は80万の為、通常であれば「160万-80万円=80万」で80万を納付します。
すでに中間納税で100万円を納めているため、「100万-80万=20万」で20万円が還付されます。
消費税の中間納税をした時の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
預り消費税 | 1,000,000円 | 預金 | 1,000,000円 | 消費税中間 |
この仕訳で、売上等の預り消費税の残高は、160万-100万で60万になっています。
消費税の精算時の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
預り消費税 | 600,000円 | |||
仮払消費税 | 800,000円 | |||
未収入金 | 200,000円 |
申告書
赤枠の金額が消費税の中間納付の100万円で、国税部分と地方税部分に区分されています。通常は、税務署から郵送されてる申告書に印字されています。
消費税の中間納付を行った場合は、申告書の印字の金額と中間納付時の仕訳の金額に間違いが無いか確認を行います。
設備投資等の還付とは異なり、「消費税の還付申告に関する明細書」の添付は必要ありません。
申告書に印字された中間納付金額の注意点について
中間納付は、前期の国税部分の金額によって変わってきます。
前期の申告書の「⑨ 差引税額 」の金額で変わります。
- 48万超から400万以下は、年1回
- 400万超から4800万以下は、年3回
- 4800万超は、年11回
年1回や年3回の中間納税分は、申告書に印字されて郵送されます。
年11回については、申告書に印字がありませんので、中間でいくら払ったかは自社で把握しておく必要があります。
また、最後の11回目の中間納税の金額は、翌期に支払期限が来るので注意が必要です。
3月決算の場合。
- 4月----11回目
- 5月----決算での納付
- 6月----1回目
- 7月----2回目
- 3月----10回目
このように、翌期に11回目を支払うので、3月末で下記の仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
預り消費税 | ***円 | 未払 | ***円 | 中間11回目 |
この11回目を忘れて消費税の申告書を作成すると、納税額が多くなるか、還付金額が少なくなってしまします。
後日、税務署から「中間納税の金額が違います」と連絡が来るはずです。その後、消費税の更正の請求で還付を受けることになります。
還付金を受け取ったときの仕訳など
まとめ
ポイント
- 還付の場合、設備投資等で還付か中間納付が多いため還付かで提出書類に違いが出る。
- 中間納付の金額は、申告書に印字があるので、仕訳と確認。
- 年11回の中間の場合、申告書に印字が無い。
- 中間の11回目の納期は翌期に到来するので、期末で未払計上。
- 消費税には、国税と地方税があり、還付に関する明細書には国税部分を記載する。
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