取引先が破産の手続きを行うと、弁護士さんから債権債務の状況の問い合わせが来ると思います。債権者集会がいつなどの連絡もあります。
手続きが終了しても裁判所からの「破産手続廃止決定」等の書類が送られてくることは無い場合があります。手続きの終了は、長ければ数年かかることもあるので、破産の終了の書類が届かないと、いつ終了したかわからないのです。
回収できない売掛金の処理はどうするのか?
破産手続きが終了した日の事業年度で、「貸倒損失」として損失の計上を行います。弁護士さんは「終わったよ」って教えてくれないので、計上時期を経過した後に終了を知ることもあります。
本来であれば、破産手続きの終了した事業年度で処理をしないといけないのに、できなかったとしても別の期で処理することはできません。その為、今後ずっと売掛金等として残ることになります。
「更正の請求」を行うことで、本来行うべき期を過ぎても損失として計上ができます。
売掛債権であれば、法人税と消費税の「更正の請求」を行うことになります。
「更正の請求」の期限は、法定提出期限(事業年度終了の日の翌日から2か月以内)から5年以内です。
更正の請求をする理由は、「破産債権 ○○の***円について、無配当である旨の通知を確定申告後に受理した為」などで良いと思います。
更正の請求を行う理由を証明する書類の添付が必要です。
破産管財人から「破産手続廃止決定」等の書類を貰い添付します。
当期(破産を知った期)の決算処理で注意すること
更正の請求を作成して、当期の決算を行います。
更正の請求と当期の決算書の提出は、同時に行っても大丈夫です。
この期の仕訳は不要です。
法人税の申告書の別表5(1)で下記のように記載します。
更正の請求の結果、別表7(1)の繰越欠損金の金額も異なってくると思いますので、別表7(1)の訂正も必要です。
翌期(破産を知った期の次の期)の処理について
仕訳①
決算書では売掛金で残っているので、その金額を「貸倒損失」で消します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
貸倒損失 | 1,000,000円 | 売掛金 | 1,000,000円 | ○○株式会社 |
消費税の処理は「更正の請求」で終了しているので、処理する必要ありません。
仕訳②
消費税が還付されてくると思います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
預金 | 50,000円 | 雑収入 | 50,000円 | 更正の請求 消費税 |
別表4の処理
仕訳①の部分は、法人税の更正の請求で経費として処理をしています。売掛金を消すために仕訳をしたので、当期の経費から除外するために、別表4で加算します。
仕訳②の部分は、消費税の更正の請求で還付されたものです。当期の収入から除外するために、別表4で減算します。
別表5(1)の処理
別表4で加算した1,000,000円は、「当期の増減」の「③増」に記載します。
別表4で減算した50,000円は、「当期の増減」の「②減」に記載します。
まとめ
ポイント
- 破産手続きを開始した取引先がある場合は、必ず毎期どうなったかを確認。
- 決算後に破産手続きの終了を知った場合は、更正の請求で行う。
- 繰越欠損金がある場合は、別表7(1)の訂正を忘れずに。
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