正常な状況であれば、社員の給与支給日と同じ日に社長の給与(役員報酬)も支払いが行われます。
様々な事情、例えば売掛金の入金の遅れや、売上不足などで、資金が足りない場合があります。このような場合、現金が無いため、社長自身や家族の給与は後回しにされます。
後回しにされる給与の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
未払金 | ***円 | 〇〇社長 |
給与の仕訳時に、未払金を追加して仕分けを行います。
給与支払い時の仕訳
未払いが継続して発生するような場合
未払いが継続されるよな状況は、好ましくありませんが、様々の事情で下げることができないこともあります。
例えば、借入金の保証人や、個人名義での資金繰り用の借入を行う場合など、収入が低いとできないこともあります。
期末でも支払いが行われないようなときは、借入金に振替えられることが多いと思います。過大役員報酬と思われて損金(経費)にならないと税務署で言われる可能性もあるためです。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
未払金 | ***円 | 借入金 | ***円 | 〇〇社長 |
借入金を消すための行われること
この借入金は、社長が会社にお金を貸した、ということです。
もし、死亡した場合、この借入金は、社長個人の「貸付金」という財産のため、相続税の計算上の財産として扱われます。
このようなことを避けるために、行われる手段。
- 役員報酬を下げて、毎月借入の返済をしていく
- 債務免除を行う
- 借入金を資本金に振替える
役員報酬を下げる方法
役員報酬を下げるということは、個人の所得税、住民税、社会保険料も下がります。会社からすれば、役員報酬や社会保険料の会社負担分の経費が減るため、利益が増えます。
借入金の返済になる為、返済された金額が個人の所得にはなりません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
借入金 | ***円 | 現金 | ***円 | ○○社長 |
会社からしても、借入金の返済の為、経費にはなりません。
債務を免除する方法
債務免除を行う場合、会社からすれば債務免除益が発生して利益が増えて、法人税等が発生することがあります。
繰越欠損金がある場合は、法人税や法人市県民税、事業税が減少します。
資本金に振替える方法
借入金を資本金に振替える方法は、「債務の株式化 デット・エクイティ・スワップ」といいます。資本金が増えることで、法人市県民税の均等割が高くなる可能性があります。
よく利用されそうな方法
役員報酬を下げる方法が一番多く利用されていると思います。
役員報酬を下げる場合の注意点は、「定期同額給与」でなければ経費に認められないため、決算月の翌月の来期分から下げるようにします。また、大幅に下げて、業績が良くなったからと大幅に上げると、利益調整と疑られる場合もあります。
下げた場合、個人的なローン等で源泉徴収票が必要な場合、低い金額の源泉徴収票が発行され、ローン等が収入不足で利用できなくなる事も予想されます。
まとめ
ポイント
- 未払いが継続する場合は、期末で借入金の振替を。
- 借入金は相続財産になるため、増えすぎに注意。
- 借入金の減少手段は、給与を減らす、免除する、株式化。
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